Recommended book #0048
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- 公開日:2021年01月19日(火)15:00
- 投稿者: Super User
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凪良ゆう 著
東京創元社
1,500円+税
これは、決して許されない2人の関係を描いています…!
…と言うとなんだか不謹慎な本をすすめているような雰囲気になりそうですが、大丈夫です。中学生以上にお勧めしたい本です。
本著は2020年本屋大賞受賞作。主人公・更紗(さらさ)は、全国的に知られた女児誘拐事件の被害者。9歳の頃でした。その当時、犯人として逮捕されたのは十九歳の大学生、文(ふみ)。
ロリコン大学生による女児誘拐事件。その衝撃的な逮捕劇は現場に居合わせた多くの人々に撮影され、ネットで拡散されました。彼女は、「自分の意志でついていった」「彼は悪くない、むしろ大切な存在だ」と主張しますが、世間はそれを許しません。当事者がなんと言おうと、加害者と被害者という世間の認識が変わることはなく、いつしか主張をすることもあきらめてしまうのでした。
それから十五年。二十四歳になってもなお「被害にあったかわいそうな女の子」として過ごしている更紗の前に、文が現れます。かつての加害者と被害者。男と女。真実とは一体何なのでしょうか…?
インターネットやSNSで便利になった社会と引き換えに現れた居心地の悪さ。画面越しの情報には、見えているようで見えていない真実があるということを心に留めておきたいです。(学校司書 浜田)